橋の上から多摩川を愛でる旅

橋を巡る事は川を巡ることと同義。
走行距離46km 走行時間2時間 所要時間5時間
奥多摩を東西に横断する多摩川。山梨県の丹波川に端を発し、最後は東京湾に注ぐ一級河川です。羽村の取水堰からは江戸時代に造られた玉川上水へと取水され、東京都民の水源の一つとなっています。
今回は、この多摩川沿いを走り、奥多摩町内の多摩川に掛かる橋を全~部渡ってみるという燃えるような無駄なような、とりあえず写真の撮りがいはありそうな冒険の旅を提案します。奥多摩中を走り回って、感動したり、むしろガッカリしたりしてみませんか?きっと色々な景色に出会えるハズです。
とりあえず。レギュレーションを発表します
多摩川の橋を巡る旅。冒険気分を盛り上げるために、多少町っぽい下流側から始めることにします。初めの橋は奥多摩大橋。多摩川を遡りながら、橋という橋を渡りつくしましょう。
ルールが曖昧だと企画そのものがなあなあになってしまうので、レギュレーションを以下のように定めます。
奥多摩の多摩川の範囲
1、範囲は青梅市との境界から山梨県との境界まで。
2、奥多摩湖を含める。
3、奥多摩湖へ流入する支流の河口付近で川なのか湖なのか判然としないエリアは奥多摩湖の一部とみなす。
4、多摩川の源流である丹波川も含める。
それと、ことのついでに日原川が多摩川に流れ込む地点にある氷川大橋と氷川小橋も渡ります。尚、本来の多摩川の範囲は、小河内ダムの堤体よりも下流になりますので誤解なさらないようにお願いします。
今回巡る橋の一覧
奥多摩大橋・万世橋・寸庭橋・将門大橋・鳩ノ巣大橋・雲仙橋・鳩ノ巣小橋(吊り橋)・白丸ダム管理橋・数馬峡橋・海沢大橋・海沢橋・もえぎ橋(吊り橋)・昭和橋・氷川大橋・氷川小橋(吊り橋)・登計橋(吊り橋)・南氷川橋・愛宕大橋・弁天橋・笹平橋・琴浦橋・檜村橋・境橋・しだくら橋(吊り橋)・道所橋(吊り橋)・水根橋(小河内ダム水門)・峰谷橋・麦山浮橋・麦山橋・三頭橋・香蘭橋・坪沢橋・留浦浮橋
その数実に33本!え~?そんなに渡らないといけないの~?ヤダーッ!
まだまだ街中!奥多摩大橋~氷川大橋
さあさあ、それでは張り切ってスタートですよ。まずは奥多摩大橋に向かうわけですが、この時点でうっかり他の橋を渡ってしまったら興醒めですよね?そんなことがないように、青梅街道だけをひたむきに走ってくださいね。
奥多摩大橋 おくたまおおはし

谷間にこれは目立ちすぎ
奥多摩大橋はJR青梅線川井駅のそば。中央のタワーからのワイヤーで吊られた白いでっかい斜張橋です。けっこうカッコいい写真が撮れます。
ここから対岸に渡って吉野街道から次の橋を目指しましょう。
万世橋 まんせいはし
JR古里駅近くの橋。橋の袂には奥多摩唯一の24時間コンビニがあります。橋の上からの眺望はなかなかのものだけど道幅狭いので注意してください。ダンプカーも通ります。橋上にバイク停めるのはダメです。
次の寸庭橋にスムーズに向かうために、渡り終えたら引き返して、南岸から細道に入るのがおススメ。そのルートだとイイ感じの山里の風景にも出会えます。
寸庭橋 すにわはし
古里駅と鳩ノ巣駅の間の多摩川南岸の地区へ入るための、大多摩ウォーキングトレイルの途中にあるこじんまりとした橋です。周辺の山里感が和みます。
渡ったらそのまま坂を上り、青梅街道へ戻りましょう。
将門大橋 まさかどおおはし
平成後期に整備された多摩川南岸道路に掛かる橋です。深い渓谷を越えていくので、高いところが苦手な人は足がすくむ程です。この橋の先は長~いトンネルが始まります。が、今回はトンネルは通りません。
すぐ横に次の鳩ノ巣大橋があるので、渡り終えたら引き返してください。
鳩ノ巣大橋 はとのすおおはし
将門大橋のすぐ隣にある橋です。後からできた将門大橋は奥多摩駅方面へのバイパスなので、新道・旧道の関係ではありません。鳩ノ巣大橋は鳩ノ巣の南岸地域へ渡る重要な道路になります。飾り気は全くないですが、構造が美しいです。将門大橋と隣り合っているためそれぞれから外観をよく見ることができる楽しいスポットです。
この橋を渡ったらそのまま進み、鳩ノ巣駅方面へ向かってください。
雲仙橋 うんせんばし

なんとなく大正浪漫って感じのタワー
鳩ノ巣駅から多摩川南岸へ渡る、古い小さな橋です。車両通行可ですが、道幅狭く、軽自動車でもすれ違いできません。今はトラス橋ですが、かつては吊り橋であったようで、両岸にタワーが見られます。うらびれた雰囲気が漂っています。
橋を直進すると程なく青梅街道に出会います。
鳩ノ巣小橋 はとのすこはし

吊り橋、廃墟、水神様
鳩ノ巣渓谷の遊歩道に掛かる小さな吊り橋です。徒歩でのみ通行できます。大多摩ウォーキングトレイルの一部でもあります。はとのす荘の駐車場奥から下っていくと見つけることができます。渓谷を間近で眺めることができる他、対岸からは水辺に降りることもできます。
渡ったら引き返し、青梅街道へ戻ってください。
白丸ダム管理橋 しろまるだむかんりきょう

ここを渡るのはけっこうワクワクするんじゃあないか
白丸ダム堤体の上、水門横を抜けていく橋です。ダムの構造体を目の前でまじまじと見ることができるので、だいぶ興奮します。バイクは持ち込めないので駐車場に停め、てくてく歩いて行ってきましょう。階段がややきついです。
観終わったら再び青梅街道に戻ります。
数馬峡橋 かずまきょうばし
白丸湖の上流側に掛かる小さな橋です。対岸は遊歩道になっていてバイクでは進めません。渡って右側に少し行くと「森の中のお肉レストランアースガーデン」があります。
海沢橋 うなさわはし
海沢大橋の隣にある古い橋です。現在車道としては使われていませんが、歩行者は通行することができます。渡りきると海沢大橋の下をくぐることができます。下からみる海沢大橋はなかなかカッコいいです。
渡ったら引き返し、お隣の海沢大橋へ向かいましょう。
海沢大橋 うなざわおおはし
白丸駅と奥多摩駅の真ん中あたりで、南岸の海沢へ渡る橋。勾配があって、登りながら大きくカーブしています。比較的新しい橋です。
渡ったら信号を右折し、トンネル手前をまた右折して奥多摩駅方面へ出ます。
昭和橋 しょうわばし

すっごい遠回りするとキャンプ場に入らず河原に出れます。
奥多摩駅から真っすぐきたとこにある橋です。すぐ下流には氷川キャンプ場。上流側には、多摩川に日原川が流れ込む様を見ることができます。河原に降りて下から見ると高さが感じられ、けっこう迫力あります。アーチ橋なので下から見るのが美しい。
渡ったら信号を右折し、トンネル手前の分岐を「もえぎの湯」方向へ向かいます。もえぎの湯の手前に谷へ降りる階段があり、そこが次の橋です。
もえぎ橋(吊り橋) もえぎばし

なんか横から見たら意外とカッコよかった
もえぎの湯と氷川キャンプ場を結んでいる吊り橋です。今回登場する吊り橋の中で抜群にしっかりした造りの橋です。
渡り次第踵を返し、青梅街道を西へ向かってください。交番の向かい、神社の脇の道から下っていくと氷川小橋です。
氷川小橋(吊り橋) ひかわこはし
氷川小橋は日原川にかかる吊り橋です。日原川なので本来渡る必要はないのですが、日原川が多摩川に流入するギリギリのところにあるので、ほぼ多摩川ということで渡っておきましょう。ギシギシと揺れる小さな吊り橋からは、多摩川と日原川、ふたつの表情の違いを見ることができます。水の色が全然違うのが見どころ。ちなみに、氷川保育園のお散歩コースの一つです。
バイクは通行できません。徒歩で渡ってください。橋を渡ったら遊歩道を左へ進みます。
登計橋(吊り橋) とけはし
氷川渓谷にかかる細い吊り橋です。対岸にも遊歩道が続き、登計峠、鋸尾根へとつながっています。眼下の多摩川は日原川の合流前の位置になります。渓谷はいよいよ狭まり、両岸の岩壁や緑が張り出して迫ってきています。多摩川の風景はここから大きく変化します。
登計橋を越えたら交番の前まで引き返してください。目の前にあるのが氷川大橋です。
氷川大橋 ひかわおおはし

氷川大橋からの愛宕山。氷川を象徴する風景
こちらも日原川にかかる橋です。欄干には鋳物を使い、野鳥、川魚、わさびなどの意匠が施されています。
ここまでで、前半終了となります。多摩川は日原川と流れを二分し、一層谷深く、曲がりくねっていきます。当然、道も曲がりくねり、上り坂も増えます。後半戦に入る前に、氷川大橋の先でE2ringに立ち寄り、バッテリーを交換していくことにしましょう。
※店舗に立ち寄ってのバッテリー交換は無料ですが、予備バッテリーが出払っているなど、対応できない場合もあります。
ここから奥多摩のいいところ。飽きてきたって我慢のしどころ。
バッテリーを交換し、バイクちゃんが元気いっぱいになったら、後半戦のスタートです。いよいよ、奥多摩らしい山と川だらけの世界に突入します。
ここから先は蛇行する多摩川と青梅街道が何度も交差していて、その都度トンネルと橋を越えていきます。したがって、ほとんどの橋はまっすぐ走ってれば自動的に渡ることができます。でも、橋を渡るのが今回のテーマなので、一つ一つ足を止めて、橋を味わっていただきたいものです。
それでは、発進します。用意はよろしいですか?

改めて止まってのぞき込むと高くて怖い
南氷川橋 みなみひかわはし
E2ringを再出発して初めの橋がこの南氷川橋です。この橋はS字にカーブしていて、地形図を見るとけっこう無茶なところに道を通しているのが分かります。
弁天橋 べんてんばし
二つ目の橋です。橋の下はスゴイ高さになってきています。
橋を越えた信号を左折してください。青梅街道を一瞬離れ、多摩川南岸道路の橋を渡ります。
愛宕大橋 あたごおおはし
青梅街道のバイパスである多摩川南岸道路の終点にかかる、新しい橋です。
渡り終わった瞬間にトンネルに突入しますので、その場所でのUターンは非常に危険です。橋の手前右側のスペースに停車して歩いて渡りましょう。渡ったら青梅街道に戻ります。
笹平橋 ささひらばし
南岸道路から青梅街道に戻るとすぐにあるのが笹平橋です。一見橋とはわからないので、見落とさないように気を付けてください。谷が狭まるせいか、周囲の景色も木に覆われていて、気を付けていないと川があることも気が付かないかも知れません。
琴浦橋 ことうらばし
左手に景色が開けて、気持ちのいい風景です。この辺りは橋が密集しており、道路建設時の苦労が偲ばれます。
檜村橋 ひむらばし
この橋を越えるとトンネルです。ここからトンネルだらけのトンネルゾーンが始まります。奥多摩湖までに7つのトンネルがあります。
境橋 さかいはし
トンネルとトンネルの間にかかる橋です。前も山、後ろも山、左右は谷。橋の欄干は苔むしていて、すごく山の中に来たんだなぁと実感できるのではないでしょうか。
この先の白髭トンネルを過ぎたら、左の側道に降りてください。そこからむかし道に入ります。
しだくら橋(吊り橋) しだくらばし

怖くて途中で引き返しちゃうので未だに一度も渡り切ったことがない
むかし道を進んで行くと、ふたつの吊り橋があります。これはその一つ目。細い吊り橋で、渡るとかなり揺れて心細いです。一度に渡れる制限人数が、老朽化のせいかドンドン少なくなってる点が不安を誘います。初めは5人だったらしいのが、今では「2人以上で渡らないでください」となっています。2人以上がダメなので、つまり1人ずつしか渡れないということです。そんなの怖くて渡れないですよね。
対岸には小さなお社があります。
道所橋(吊り橋) どうどころばし
むかし道の吊り橋二つ目です。しだくら橋と同じく、死のカウントダウンが始まっています。
むかし道を進むと青梅街道に合流します。そのまま小河内ダムを目指してください。
水根橋(小河内ダム水門) みずねばし

正面奥の水門の上が水根橋
小河内ダム水門の上を渡るための橋です。普段はカラッカラに乾いていて、放流時のみ、この橋の下を水が流れます。この先にはダム堤体、展望台があり、眺望を楽しめます。ちなみに車両は進入不可です。
さて、純然たる多摩川はここまでで終了です。ここから先は厳密には多摩川ではないのですが、続きってことで、惰性で行っちゃおうぜ!
峰谷橋 みねだにはし
峰谷川が奥多摩湖に流入する河口付近を渡る橋です。真っ赤な塗装とマリンライト風の照明がオシャレな橋です。
麦山浮橋 むぎやまうきはし

吹き抜ける風が地上とは一味違う
峰谷橋からトンネルを過ぎてすぐ左に入ると麦山浮橋があります。浮橋は通称ドラム缶橋と呼ばれている、湖面に浮かべられた橋のことです。水の上を歩いているような、ちょっと不思議な感覚を味わうことができます。
麦山橋 むぎやまばし
奥多摩湖がちょびっと出っ張ってる小さな入り江に掛かるオレンジ色の橋です。峰谷橋と同様、特徴ある街灯が取り付けられています。
この先で信号を左折し、一時的に青梅街道を離れます。
深山橋 みやまばし
奥多摩湖の上流部を横断する橋です。緑色の欄干と照明が特徴的です。
三頭橋 みとうばし
奥多摩周遊道路の入り口へ向かう橋です。無骨でカッコいいデザインです。この橋の下は小菅川になります。
香蘭橋 こうらんばし
三頭橋の先にある、入り江をまたぐ短い橋。地味。
この橋の先には今回行かないので、渡り終えたら深山橋まで引き返し、青梅街道西進に復帰します。
坪沢橋 つぼさわばし
これまた、入り江をまたぐ橋になります。
留浦浮橋 とずらうきはし

ゆらゆら
二つ目のドラム缶橋です。麦山浮橋に比べ、湖がかなり細った場所にかけられています。静かでうらぶれた雰囲気にキュンキュンできますよ。
そして!遂にこれが最後の橋です!あー長かった。これ結構ハードなミッションかも知れないです。橋の度にいちいち止まるのストレスだろうなぁ。
働いた者は食ってよい 東京最西端の定食屋「島勝」へ
奥多摩の多摩川の橋を巡る冒険はこれでお終いです。留浦浮橋から地上へ戻ったら、右側、青梅方面へ視線をやってみましょう。そこに見える白い建物が、テレビでも紹介された東京最西端の定食屋「島勝」です。ちょっと遅めの昼食を摂ることにしましょう。
この記事のタイトル通りにカツ丼を食べてもいいですが、とろろめしや手作りこんにゃくもおいしいと評判です。むしろ、そっちの方が山っぽい?
食事を摂りながら、バイクの充電もさせてもらいましょう。お腹いっぱいになったら出発です。青梅街道をひた走り、E2ringへご帰還ください。下りで加速しすぎると怖いので、ブレーキングにはくれぐれも気を付けて!
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奥多摩を巡るための電動バイクレンタルショップE2ring